A-GOALプロジェクトは7月9日、ナイジェリアで初めてとなる支援をラゴス、イルペジュ地区で実施しました。支援国としてナイジェリアはケニアに続いて2カ国目。今回の支援は、サッカーJ3リーグに所属し、ナイジェリア人のオニエ・オゴチュクウ・プロミス選手が所属する「Y.S.C.C.横浜」による寄付により実施しました。オニエ選手を高校生時代に日本に招聘した「TAIYO株式会社」の現地代表で、今回のプロジェクトリーダーである、イシオマ・ンアブエゼさんは「希望を失いかけていた人を笑顔にできた」と喜びを語ります。
ナイジェリアのバスケットボールクラブが協力
A-GOALプロジェクトは今回、コロナ危機に苦しむ50世帯230人に米、トウモロコシの粉、食用油、塩といった食材と感染予防のための石けんを配布しました。1世帯につき約3000ナイラ(約1000円)、1〜2週間分にあたります。
今回の支援でハブとして協力したのが、現地のスポーツクラブ「ニューソング・スポーツアカデミー(NSSA)」です。NSSAは100人をこえる子どもたちにバスケットボールを教えています。TAIYO株式会社が実施する「アスリート留学生プロジェクト」では、このクラブを経て、スポーツ特待生として日本に留学したり、プロとして活躍したりする選手もいます。
支援を実施するにあたり、彼らはクラブメンバーの家族で生活に苦しんでいる30世帯と、クラブメンバー以外の20世帯を選び出しました。その中には道で物ごいをする家族や地域の道路を無償で掃除する親、バスケットコートの警備員の家族も含まれます。
支援当日、ニューソング・スポーツアカデミーは受益者を2グループに分け、時間をずらして物資配布を行いました。場所はいつも使っている野外のバスケットコート。三密を避け、感染が広がらないようにする工夫です。
支援を受け取った人からは「支援してくれて、ありがとう」、「コミュニティーに希望を与えた」といったポジティブな言葉が寄せられました。NSSAのヘッドコーチ、オラクンレ・オグンラナさんも「先進国の人たちも私たちのことを心配し、共に良い社会を作っていこうと考えていることが知れてうれしかった」と喜びを語ります。
プロジェクト用のポロシャツも作成
今回の支援で現場の指揮をとったのが、日系企業TAIYOのナイジェリア事務所代表のイシオマさんです。6月中旬、コロナウイルスの影響で国中に閉塞感が広がるなか、イシオマさんはTAIYOの伊藤政則社長からA-GOALプロジェクトの話を聞き、進んでプロジェクトリーダーになりました。
イシオマさんは、以前から関わりのあるNSSAと連絡を取り、コーチたちと一緒に支援計画を作成しました。配布前日には、イルペジュから遠く離れたマーケットに行き、食料や石けんを安く購入。世帯ごとに分けました。支援当日は、リストアップした受益者名を確認したり、手洗い場を設置したりするなど、円滑な運営に貢献しました。
スポンサーへの配慮と現地メンバーの一体感をつくるため、プロジェクト用にポロシャツも作りました。シャツの中央に「A-GOAL Nigeria」のロゴ、胸にナイジェリアオリンピック委員会とTAIYOのロゴ、そして左裾には今回のメインスポンサーであるサッカーJ3の「Y.S.C.C.横浜」のロゴがついています。ポロシャツのカラーは桜をイメージしてピンク色。イシオマさんはこれをTAIYOナイジェリア事務所の予算から捻出しました。
イシオマさんは「コロナの影響で多くの人が苦しんでいる。そんな中、先頭に立って支援活動ができることを嬉しく思う」と語ります
コロナで43%が失業
ナイジェリアの人々を苦しめるのが、政府が3月下旬に実施した外出禁止措置です。医療従事者や食料販売などの必須業種を除き、全ての人々の移動と経済活動が制限されました。ナイジェリアのニュース、ナイラメトリックスによると、以前仕事のあった人のうち、42%がこのコロナ危機中に仕事を失い、約80%の家庭が収入を減らしたとのことです。6月に外出禁止措置は徐々に緩和されましたが、現在も夜10時から朝方4時までは外出禁止です。
これにより問題になっているのが食料の確保です。ナイジェリア国家統計局の報告によると、51%の世帯が食事の量や回数を減らしました。「ほとんどの家庭が1日1回、多くて2回しか食事をとれていない」とイシオマさんも嘆いています。
人々を苦しめるもう一つの原因が政府の汚職です。ある調査によるとナイジェリアでは1960年の独立から2012年の間に石油収入の約4兆米ドルが汚職により消えたといいます。世界の汚職を調査するトランスパレンシー・インターナショナルの汚職ランキングによるとナイジェリアは180カ国中146位(2019年)。イギリスのデビッド・キャメロン元首相は「ナイジェリアは想像できないほど腐敗している(Fantastically corrupt)」という言葉を残しています。
度重なる汚職により、政府の支援措置に期待する声はほとんどありません。「政府は1000億ナイラ(約330億円)の特別予算を組んで国民全員に2万ナイラ(6600円)を支給すると言っているが、どこまでおわれるかは疑わしい」とナイジェリアの独立メディア「バンガード」は悲観します。NSSAのオラクンレコーチも「国民全員に10万円が確実に支給される日本が羨ましいよ」とナイジェリア政府を皮肉ります。
コロナによる失業と政府の汚職に苦しむナイジェリアの人々。だからこそ今回のA-GOALプロジェクトは現地に大きなインパクトを与えました。
「人々は仕事もなく、政府からのサポートも期待できず、希望を失っていました。そんな中、支援により食べものを届けるだけでなく、人々に『サポートをしてくれる人がいる』という希望を与えることができた」
と、イシオマさんは語ります。
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